価格を超えるクオリティの、70年代の雰囲気を纏ったラグスポ入門機。
ラグスポ入門者の救世主
近年、時計業界のトレンドとなっているラグスポ(ラグジュアリースポーツウォッチ)。
1970年代初頭に生まれた概念で、高級時計=金ケースという固定概念を覆し、高級時計でありながらも、貴金属よりも硬く、軽い、ステンレスを主な素材として、スポーティーな外観をもつジャンルを指します。
カジュアルな場面にも、フォーマルな場面にも、幅広く合わせられるため、腕時計界のマルチプレイヤーといった存在です。
そんな魅力溢れるラグスポですが、難点は価格の高さ。
代表的なモデルは、「オーデマピゲ ロイヤルオーク」や「パテックフィリップ ノーチラス」、「ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ」など、平均的サラリーマンとは縁のない雲上モデルが数多くあります。
そこに颯爽と登場したのがTISSOT(ティソ)のPRX。
TISSOTは、日本ではあまり知名度がないかもしれませんが、世界最大のスウォッチ・グループの傘下で、低価格で高品質なスイス時計を提供している優良メーカーです。
そんなTISSOTがラグスポテイストな時計を発表したものだから、常日頃ラグスポへの憧れがあった私は、飛びつくように購入に至るのでした。
スペック&レビュー
型式:T1374071104100
購入年月:2022年10月(現行品)
ムーブメント:Powermatic80(ETA2824改)、自動巻き、21600回転/時(6振動)、パワーリザーブ80時間、ハック機能有
文字盤:ブルー
夜光:スーパールミノバ
風防:傷防止加工無反射コーティングサファイアクリスタル
ケースサイズ:長さ40.0mm、幅39.5mm、厚さ10.93mm
ケース素材:316Lステンレススチール
重量:138g
防水:10気圧防水
一見してまず感じたのが、ケースとブレスレットの質の高さ。
もっと上の価格帯の時計も所有していますが、それらと遜色のない仕上げの丁寧さが光ります。
着用してみると、更に高級感を感じることができます。価格から逆算して何となく、「軽さや立体感のなさを感じさせられることになるかも…」という思いは全くの杞憂に終わりました。
しっかりとした重さが感じられ、薄めのブレスレットは手首にしなやかに寄り添い、腕乗りの良さが際立ちます。
ケースエッジや、サテン仕上げと鏡面仕上げのメリハリも良く、外観だけ見れば雲上モデル達と見分けがつくのかどうか…(ロイヤルオーク等、雲上の実機に触れたことはありませんので確証はありませんが…涙)。
また、文字盤もこの時計の好きなポイントの一つ。格子模様に型押しされたエンボス加工が特徴的で、時計全体のシンプルな印象に立体感をプラスしています。
単にエンボス加工なだけでなく、中央から放射状に広がるサンレイ仕上げも併せてあしらわれており、贅沢なダイアルとなっています。
逆に一点、ほんのりチープさを感じるとしたら針でしょうか。
ちょっとペラっとしている印象で、針自体にも、もう少し立体感が欲しいなと思いますが、この価格では流石に贅沢を言い過ぎかもしれません。
着用シーンについて
「PRX」というモデル名の由来ですが、Precise(正確)からP、Robust(堅牢)からR、10(ローマ数字でⅩ)気圧防水からXを取っているそうです。
その名に違わず、良質なムーブメント・ケース・ブレスを搭載し、防水性も十分で、使い勝手の良い時計だと感じます。
平日のスーツスタイルにも、休日のカジュアルスタイルにも、どんな場面にも適応してくれます。
その日着ける時計に迷った際、手に取ることが多い一本です。
ですが、逆に「ドンピシャ」なシーンは少ないかもしれません。
というのも、要所に鏡面仕上げが施され、ベースとなっているサテン仕上げ自体も光の反射が多いタイプのようで、全体的にキラキラとして、綺麗目な印象が強いです。
ビジネスではややギラつき感、完全なアウトドアシーンでは小綺麗過ぎる感が出てしまうかもしれません。
大抵のシーンで70点以上を取れる」万能時計」である一方、100点、120点を叩き出せる場面は少ないかなという印象です。
まとめ
価格以上のクオリティで、この価格帯の中ではベストバイと言えるPRX。
様々なシーンで活躍できるので、1本目の機械式時計にも最適かと思います。
私も着ける時計に迷った際に、PRXについつい手が伸びますので、時計マニアの方でも持っておいて絶対後悔のない一本だと思います。
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