12時位置に咲く薔薇が魅力のモテ時計。
チューダーというブランド
みなさんはチューダーというブランドを知っていますか?
世代によっては、「チュードル」の方が聞き馴染みがあるかもしれません。
チューダーは、ロレックスの子会社として誕生したブランドです。
「ロレックス」というブランドの知名度や販売の拡大を目的として、ロレックス同様の高品質な時計を、リーズナブルな価格帯で提供する、それが「チューダー」というブランドの存在意義でした。
そのため、当時のチューダーの時計にはロレックスと共用のパーツ(ケース・リューズ・裏蓋・ブレス等)が使われています。
一方、価格を抑えるため、ムーブメントには「ETAムーブメント」が多く使われていました。
「ETA」とは、スイスが誇る業界最大手のムーブメントメーカーで、元々は、スイスの名だたるムーブメントメーカーが生き残りをかけて協力した連合組織でした。
良質なムーブメントを大量に生産できるので、価格を抑えることができる、という訳です。
「ETAムーブは自社製ムーブに劣る」ようなことを言う人もいますが、正直そんなことはないと言えます。
むしろ市場に大量に出回るムーブメントなので、そのメンテナンス性は非常に高く、洗練されたムーブメントであることは間違いないです。
今では1つの時計ブランドとしての地位を確立した感のあるチューダーですが、昔の、ロレックスの弟分としてのチュードルもまた、非常に魅力的なブランドでした。
薔薇ロゴについて
チューダーのロゴマークには、エリザベス女王1世を含む、歴代5人の王を輩出した名門チューダー家にちなんで、イギリス王朝のシンボルである「薔薇」が採用されました。
実はこのロゴマーク、年代によって変更されています。
- 1926年
チューダー創業。ロゴは「TUDOR」というブランド名のみ。 - 1936年~1946年
盾マークの中に薔薇マーク、通称「盾バラ」のロゴマークが誕生。由来は、ブランド名の由来でもある、チューダー家の薔薇の紋章。 - 1947年~1969年頃
盾マークがなくなり、薔薇マークのみに。薔薇マークのサイズによって、「小バラ」「中バラ」「デカバラ」と呼ばれる。 - 1969年:薔薇マークがなくなり、現在の盾マークを採用。
この薔薇ロゴが、チューダーのデカバラの最大の魅力。
チューダーは現行人気も非常に高いブランドですが、12時位置にあまりにも大きく鎮座する薔薇ロゴと、花びらや葉を思わせる独特なくさび形のインデックスが、現行のモデルでは決して味わえない、ヴィンテージ感、アンティーク感を味わうことができます。
スペックとモデルの種類
ブランド紹介につい熱が入ってしまいましたが、ここでスペックを紹介。
チューダー オイスター(デカバラ)(TUDOR Oyster)
型式:Ref.7934
製造年:1958年
ムーブメント:Cal.1156、手巻き、18000回転/時(5振動)
文字盤:ブラック(恐らくリダン)
ケースサイズ:縦41mm、横34.5mm(リューズ除く)、厚み10mm
ラグ幅:19mm
防水:非防水
ベルト:クロコダイル革ベルト(ヌバックグレー)
「デカバラ」の愛称で親しまれていますが、正式な名称は、「オイスター」。
自動巻きのモデルには「プリンス」が付き、日付表示ありのモデルには「デイト」が付きます。
手巻き日付なし→「オイスター」
手巻き日付あり→「オイスターデイト」
自動巻き日付なし→「プリンスオイスター」
自動巻き日付あり→「プリンスオイスターデイト」
といった感じです。
デカバラの魅力はやはり特徴的なインデックスと薔薇ロゴだと思った私は、余計な表示がなく、シンプルに文字盤を楽しめる基本の「オイスター」を選択。
自動巻き、手巻きともそれぞれ良さがありますが、私の場合はほぼ毎日違う時計を着用するので、手巻きのヴィンテージ感を優先しました。
文字盤のバリエーションについて
また、薔薇ロゴとくさび形インデックスを基本として、文字盤には本当に様々なバリエーションがあります。
デカバラ購入の際には、この辺りこだわって選んでみると面白いと思います。
私は、「黒文字盤・金色インデックス・白文字」のものを探しました。
文字盤色は大きく分けて白と黒に分かれますが、黒文字盤のものはほぼ全て、リダン(後から綺麗に修復すること)されたものと言われています。
ヴィンテージ、アンティーク時計において、部品がオリジナルであることはかなり重要な要素だとは思いますが、こと「デカバラ」に関しては、綺麗な文字盤、綺麗なインデックスのものが好みなので、この選択に至りました。
また、黒×銀もシャープな印象で捨て難いですが、やはりここはヴィンテージ感を重視した結果、金色インデックスのものを選びました。
そしてこれはかなり細かい趣向になりますが、黒×金だけでなく、「TUDOR」の文字等は白色の方が、グッと文字盤全体が引き締まる感じがしたので、白文字のものを選びました。
なかなか完全に好みの個体を見つけるのは難しいと思いますが、根気強く探してみることで、手に入れた際の愛着も倍増するかと思います。
印象と着用シーン
流石は1950年代の時計、といったヴィンテージ感抜群の佇まいで、シンプルなオイスターケースにシンプルな三針の文字盤、針も硬派なドルフィンハンド、と、嫌いな人はいない、堅実な印象を受けます。
その安定感ある土台に、ある種の派手さを持つハイセンスな薔薇ロゴとくさび形インデックスを乗せているので、全体的には、シンプルかつ可愛い時計、いわゆるモテ時計(別に時計でモテることなんて全くありませんが笑)です。
着用シーンはビジネスからカジュアルまで、幅広く使えそうです。時計本体は小さめで薄いため、ベルトに何を選択するかでもかなり印象が変わってきそう。
あまりジャンルで括るのもアレですが、時計の分類など、時計好きにとっては興味深いところ。
みなさんだったらチューダーのデカバラはどのジャンルだと思いますか?
腕時計の種類(ジャンル)についてまとめた投稿もありますので、読んでいただけたら嬉しいです。
私はクロコダイル革(ヌバックグレー)のベルトを使用しています。青みがかったグレーが、黒金の文字盤と合わさってかなり好みのヴィンテージ感を醸し出しています。
決して派手な時計ではなく、「ワンポイント入った無地の服」のような感じで、職場でも休日でも愛用しています。
現状でも大満足の一本ですが、ステンレスブレスも本来ロレックスと共用パーツが使われていた時計ですので、是非適合するブレスを見つけたいです(ただ、非常に高値がついてるんですよね…笑)。
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